ELシート用インバータの製作

ELシートを使いたくて、大阪のシリコンハウスで無機ELシートを購入しました。
無機ELは、面発光、フレキシブル、薄い、ハサミ等で自由に切れる(注: ある程度の制限はある)という特徴を持つデバイスです。ただし、それほど明るく光らないので、照明には向きません。

さて、このELシートを発光させるには、シートのサイズによりますが100V, 400Hz程度の交流電圧を印加する必要があります。この電圧を作るために、別途インバータが必要になります。
今回は、DC12V程度で光らせるため、インバータを製作します。

売っていますが、作ります(重要)

注意:高電圧を扱います

ELシートの駆動方法

ELシートの電源は、70~130Vで400Hzの交流電圧です。電圧を高くするか、周波数を高くすると明るくなりますが、寿命が短くなります。ちなみに、AC100,60Hzの商用電源では、非常に暗いですが、一応光ります。なお、正弦波交流である必要はありません。

ELシートはコンデンサのような構造をしているため、容量性負荷となります。LCRメータで測定すると、0.2μF程度の容量がありました。

回路構成

ELシートのインバータについて調べると、電源トランスを使った回路がいくつか見つかりました。しかし、今回はトランスを使わずにインバータを作ってみます。

回路構成としては、MC34063による12V→240V昇圧回路と、400Hzのスイッチング回路です。400Hzはオペアンプの発振回路で作ってトランジスタでスイッチングします。

第一作目(失敗作)

これは最初に作った回路です。ただし、後述の理由でELシートを光らせることはできません……。
回路図の上段のMC34063による昇圧チョッパでDC12Vから140~260Vを作ります。MOSFETのQ1には耐圧200V程度の物を使います。無機ELシートにはそれほど電流が流れないため、もっと小さいMOSFETやインダクタでも良いと思います。

回路図の後段のオペアンプで400Hzの信号を作り、トランジスタT2でスイッチングします。

ELシート用インバータ第一作目(失敗)

先に述べたように、ELシートは容量性負荷です。この回路では、出力回路がトランジスタ1石の回路なので、トランジスタT1がOFFの時に、出力インピーダンスが抵抗R13の47kΩとなり、ELシートに電流を流せませんでした。(ELシートが容量性であることに気付いたのはこの回路を作った後です)。

インバータ第一作目 基板

第二作目

この回路は、第一作目の問題点を修正したものです。出力回路をプッシュプルにしたので、ELシートをしっかり駆動できます。

ELシート用インバータ

ダイオードD2には耐圧300V以上のショットキーバリアダイオード、
ダイオードD3には1A程度の小信号ダイオード、
ダイオードD5には耐圧300V以上のシリコンダイオードを使います。

ボリュームR7でELシートの明るさを変えることができます。

ELシート インバータ トランジスタのフィンの絶縁に注意
ELシート用インバータ基板 真上から

下図は、201mm×122mmのELシートを光らせている写真です。半導体素子の発熱も少なく、良好に動くことを確認しました。

ELシート点灯中

最後にケースに入れました。ケースには放熱用の穴と、明るさ調整用にボリュームの穴を設けました。

ケースに入れた

ELシートの利用については、別の記事で紹介します。

 

製作日:2015年1月頃