バッテリーカレントセンサーの調査

近年の自動車にはバッテリーの充放電電流を測定するためのセンサーが備わっている。
このセンサーを使えれば、数十アンペアの電流を手軽に測定することができる。

調査対象部品

品番:28850-B2020 (トヨタ、ダイハツ)
メーカー:デンソー

測定対象の電線を真ん中に通す。
通常、1回通すだけ(1ターン)だが、ターン数を増やせば、測定レンジを狭めることができる。

バッテリカレントセンサ

ピン配置

ピンアサイン
  • ① TH
  • ② Vcc +5V
  • ③ Vout
  • ④ GND

THとGNDの間に温度センサー(サーミスタ)が内蔵されている

コネクタは、住友電装025型TS防水シリーズ4極のようだ
実験ではQIコネクタが刺さる

電流の向き

穴の内寸:24mm × 5.5mm

静特性

Vcc=5.00V
カレントセンサーに電線を10ターン巻き、測定した。
※10ターンで10A流した時、1ターンで100A流した時と同等となる。

測定する電流をIBと置いた。

Voutには、Vcc(5V)の1/2を基準電位とし電流IBに比例する電圧が発生した。

計算式:
IB [A] = (Vout[V] – 2.5) / 0.02

IB-Voutの測定結果

動特性

本来DCを測定するセンサーだが、AC特性も測ってみた。

100Ap-p相当の正弦波を流した時のVoutの振幅を測定した。

200Hzぐらいまでなら使用できそうである。

周波数特性
周波数特性 Gain (IB/Vout*50) [dB]
200Hzの実測波形、IB(上)、Vout(下)。Voutは-2.5Vオフセットして表示。
矩形波100Hzの実測波形、IB(上)、Vout(下)。Voutは-2.5Vオフセットして表示。

出力端子の特性

Vout端子の負荷特性を採った。

10kΩ以上で受けるのが良さそうだ。

Vout端子の負荷特性

温度センサー(サーミスタ)

GND間の抵抗から温度を測定できる。

R25℃ = 2000Ω
B定数 = 2985K

参考文献

12Vバッテリー端子(日産 キックス e-POWER・P15)by doggie_0505 – みんカラ https://minkara.carview.co.jp/userid/3395291/car/3174507/7123176/note.aspx



ヤングSSのタコメーター解析&修理

スバル360 ヤングSSのタコメーターの修理です。(依頼品)

症状

針が全く動かず。
ゆすると針が揺れるので、固着では無さそう。

車両側のハーネスは、オシロで当たるとちゃんとイグニッション波形が出ていました。

ファンクションジェネレータでパルスを入れてみたりしましたが、やはり反応せず。

分解

基板の部品面。フェノール基板はかなり草臥れてる
回路基板

ゲルマニウムトランジスタが出現!ゲルマニウムダイオードも数点使われています。
メーターには昭和43年の文字があります。今から50年以上前の製品です。

テスターのダイオードレンジで簡易的に当たってみましたが、壊れては無さそうです。

あとテスターで基板を触った時にメーターの針が振れたので、
一番危惧していたメーターコイルは断線していませんでした。

回路図

持ち帰って回路図を起こしました。

回路図。実際の基板には部品番号は無いよ

構成はチャージポンプ回路でした。
パルスのH期間に0.5uFのコンデンサを充電し、パルスの立下りエッジで電流計(メーター)へ電荷を放電します。

エンジン回転数が上がると充放電回数も増えるので、電流計の指示値が比例的に増加します。
コンデンサの電圧が8.5Vのツェナーダイオードで制限されているので、電源電圧の変動を受けません。

トランジスタは2SB364
スペックはVCEO=-20V, VEBO=-12V, IC=-400mA, hFE=60~150

ダイオードはゲルマニウムダイオードです。スペックは不明です。

メーターは電流計で、フルスケール約600uA。内部抵抗は640Ωです。

1.5kΩの抵抗は実際には3kΩの可変抵抗です。

少ない部品点数でよくできています。先人の知恵です。

故障個所

2個のコンデンサと抵抗の故障でした。ESRが異常になっていました。

  • 0.1uF 250V MPコンデンサ
  • 0.5uF 50V マイカコンデンサ
  • 100Ω 抵抗

コンデンサはどちらもフィルムコンデンサに交換しました。

トランジスタは壊れていませんでした。基板から外して確認すると、hFEは約100でした。
ゲルマニウム半導体は熱に弱いので注意が必要(最大は80℃です……)。

100Ωの抵抗は実測440Ωぐらいになっていました。カーボン抵抗に交換しました。

修理した基板と交換した部品
修理した基板と交換した部品
基板の裏側
基板の裏側

調整

0~12Vの矩形波で266.7Hzの時8000rpmになるよう調整しました。

入力パルスの形によってズレると思いますので仮の調整です。

スバル360は2ストローク2気筒なので、クランク1回転で2回点火します。

8000rpm時・・・点火周波数 [Hz]=8000 [rpm] / 60 * 2 = 266.7 [Hz]

あ!この時代ならHzじゃなくて「c/s」ですね。

4000rpmを示すタコメーター
4000rpm時は133.3Hzとなる

動作確認

実車に取り付けたところ、問題なく動作しました。

2個目の修理依頼

もう1台のタコメーターも直してほしいと渡されたので修理しました。
1個目と同じくコンデンサが壊れていました。抵抗は無事でした。

2個目のタコメーターを分解した写真。調整用のボリュームの形が1個目と違った。
ボリュームの形が違った

これも調整したのち返却しました。

波形

参考として回路の波形を掲載します。

入力信号と電流計(メーター)の電圧です。
入力信号の周波数やDuty比が変わっても、メーターに入るパルスの形は同じ。よくできてますよね。

freq.=30Hz, Duty=50%
freq.=100Hz, Duty=50%
freq.=100Hz, Duty=10%

参考文献


ホンダストリートに12cmスピーカー導入【アクティ】

ストリートのドアスピーカーに12cmスピーカーを取り付けます。
同じことを以前にやっているので既出ネタではありますが、
今回は現行品のスピーカー KENWOOD製 KFC-RS125 を取り付けます。
3Dプリンターでスピーカーブラケットを自作してポン付けを目指しました。

KFC-RS125
“ホンダストリートに12cmスピーカー導入【アクティ】” の続きを読む

ビート等長エキマニ導入♪【MTRECストリート】

ストリートにビート純正の等長エキマニ1をMTRECストリートに取り付けた!

等長エキマニはロマンですよね。もちろんそのままでは付かないので改造します。

“ビート等長エキマニ導入♪【MTRECストリート】” の続きを読む

アイシン製電動ウォーターポンプの動かし方

トヨタ・プリウスZVW30やトヨタ・アクアNHP10などのエンジン冷却用アイシン製電動ウォーターポンプ(以下ポンプ)の動作方法を解析した。

“アイシン製電動ウォーターポンプの動かし方” の続きを読む

MP3バックブザーを作った

”好きな曲を流せるバックブザーが欲しい”という依頼があり作った。
ギアをリバースに入るとSDカード内の音楽ファイルを再生する、という単純なもの。
駐車場で注目度No.1になること間違いなし

“MP3バックブザーを作った” の続きを読む

流れるウインカー用 遅延リレーの製作

トラックにありがちな「流れるウインカー」の点灯回路の依頼を受け、製作しました。
簡単に数を増やせるようにしています。せっかく作ったので記録として記事にします。

“流れるウインカー用 遅延リレーの製作” の続きを読む

ビートのクランクプーリーに交換【MTRECストリート】

ビートのMTRECエンジンを載せたストリート号。

でもクランクプーリーは元のエンジンのを使っていた。
今回はこれをビートのクランクプーリーに交換した。

“ビートのクランクプーリーに交換【MTRECストリート】” の続きを読む

純正ブーストセンサーの調査

いくつかのブーストセンサー(別名:負圧センサー・バキュームセンサー・MAPセンサー・吸気圧センサー)の特性を調べました。実測です。

廃盤の流用ができる……かも?
もちろん自己責任でお願いします。

“純正ブーストセンサーの調査” の続きを読む