【構造変更】CVTサンバーのMT化【スーパーチャージャー】

概要

ECVTが壊れて不動になったKS3サンバーを、MT化して公道復帰させよう!というプロジェクトです。

サンバーの場合はAT車にMT車の変速機やペダル、シフトレバー等をポン付けできてしまいます。
でも、構造変更が必要となります。人生初の公認をやってみよう!

※構造変更にチャレンジする方は事前に軽自動車検査協会に問い合わせると良いです。ここを見るより確実です。

【強度計算について知りたい方へ】
先にお断りしておきますが、このページではドライブシャフトの強度計算をしていません。
当該地区の軽自動車検査協会では材質の証明を求められてしまい、個人では無理という結論に至りました。できたよ!という方はコメントください!

不動で購入。ECVTの修理を断念

KSサンバーが3台並んでいる
3台すべてサンバーなんだな

不動のサンバー(ECVT、スーパーチャージャー(SC) )を入手しました。上の写真の左端です。
なんか、部品取りでもう1台のサンバー(MT、NA)がついてきました。(写真の右端)
写真の中央は元々持ってたサンバー(MT、SC、4WD)です。なお不動。

なんでこんなにあんねん

購入時点では簡単に直るだろ、と思ってました。

なお症状は下記です。

  • D,Ds,Rでも接地状態では一切駆動しない。
  • 宙に浮かすとタイヤが回る。
  • 異音はしない。

考えられる原因は下記です。結局わかりませんでしたが・・・。

  • CVTオイル不足
    →入っていた。
  • パウダークラッチのコイルに通電するブラシの摩耗
    →抵抗値や電流は正常だった。
  • CVT内部のオイルポンプ不良によるライン圧低下
    →オイルポンプを駆動するシャフトのスプラインが摩耗して空転する事があるらしい。
     当該車両は摩耗していなかった。ただ、油圧を見るとやや低い気がした。
  • パウダークラッチ自体の故障
    →外観では判らない。これなら修理費高すぎる。可能性はかなり高い
  • スチールベルトの破断
    →オイルパンを外せば破片が出てきそう。そういえば見てないな。修理費高すぎ

ということで部品取り車両もあったのでMTに載せ替えます。

面倒になってきたぞ

ミッションの載せ替え

大まかな流れ

  1. エンジン&CVTを車両から降ろす
  2. クラッチペダルやシフトレバーを取り付ける
  3. エンジンとMTを合体する
  4. エンジンを車両に載せる
  5. 配線の加工をする
  6. 構造変更&車検
  7. 完成

後々構造変更用の書類用に写真をたくさん撮っておくとよい。

ポイント

  1. サンバーの場合ミッションだけ降ろすよりエンジン+ミッション同時に方が楽。油圧台車を使うと楽。
  2. ミッションマウントはCVT/MT-2WD/MT-4WDは異なる。
  3. クラッチペダルはブレーキペダルとステアリングコラムごと移植する必要がある。
  4. チェンジレバーはポン付けできる。
  5. スピードメーターケーブルはMT用を使う。CVT/MT-2WD/MT-4WDで長さが違うので注意する。
  6. チェンジレバーの配線はNかPのポジションで配線する。
  7. チェンジレバーのリバーススイッチは短絡しておく。
  8. そして後ろのリバースランプの配線に、MTのリバーススイッチを割り込ませる(他の方法でも良いが、これが楽)
  9. CVTコンピューターのカプラーは抜く。
  10. ECUの配線を1ヶ所切る←エンジンチェックランプが点滅する場合。(後述)
  11. SCエンジン車の場合はSC用MTを使わないと改造申請が困難(後述)

載せ替え作業

載せ替えの作業を写真ベースでお伝えします。

ミッションを降ろします。

サンバーの場合、エンジンごと外したほうが圧倒的に楽です。、

エンジンとミッションが降りた様子
エンジンメンバーごと降ろすと簡単です
降ろしたエンジン
エアコンガスが抜けてたので、今回はエアコンコンプレッサーも外しましたよ
エンジンとミッションを分離した。エンジンについている銀色のものが電磁クラッチ
銀色のUFOみたいなものが電磁クラッチです。
CVTの軸。同軸上に2本生えている。
CVTミッションです。真ん中の細いスプラインが、オイルポンプの駆動軸です。これが摩耗してるだけなら、楽でしたが・・・

ミッションを降ろします

またかよ!

これは部品ドリ車ですね

部品ドリ車からミッション降ろす様子
部品取車(MT・NA)からエンジンとミッションを降ろします。後に判明するがこれは使えません。
フライホイールのスターター用歯車が欠けている
MT用のフライホイールも必要です。この部品取り車のフライホイールのギアは死んでました。

んーメンドイ。サンバーヲタクのパイセンに助けを求めます。

☎「もしもし、パイセン? サンバのフラホもってない?」
パイセン「あるよ」

もらったエンジンとミッション。載せてる油圧台車は便利。
NEW エンジン(NA、死んでる)、NEW MTミッション

壊れたエンジンを貰ったのでフライホイール問題は解決しました

ちなみにこのエンジンについてるミッションは後期型なので、
今回の改造車には使えません。ドラシャの固定方法が違うのですね・・・

スバル 年次改良、多すぎる問題

めんどいねぇ・・・・・・

改造車のエンジンとMTを合体する

フライホイールとクラッチ一式をもとのエンジンにつけた
クラッチ一式を改造車のエンジンにドッキングします。

なお、NAとSCではクラッチのサイズが違います。
なんとかしましょう。

???「KSサンバーのマウントって、3種類あんねん」

エンジンマウント、3種類。
前期(A型?)のほうがゴージャス。MTとCVTと4WDはそれぞれ互換性がない

注意しましょう。写真のどれがどれかは、、忘れました。

車体に載せる

車体にエンジンとミッションを載せた様子
降ろせたんなら載せられるやろ

あとはクラッチペダルを取り付けたりシフトレバーを取り付けたりしておきます。

ATからMTに変えるので、配線変更

AT車の場合、リバースランプのスイッチがセレクター(シフトレバー)のところにあります。
MT車の場合はMT自体にスイッチがあります。

今回はセレクターの所をショートしておいてリアのランプへ向かう配線をエンジンルーム内で
MTのスイッチにつなぎました。

ランプに向かうハーネスを切って、割り込ませる。
リバースランプの配線にMTのリバーススイッチを割り込ませる

CVTコンピュータは不要なのでカプラを抜いておく。

セレクターはニュートラルのポジションの状態になるよう配線加工しました。

あとからわかったが、しばらく走行するとエンジンチェックランプが点灯した。
CVTのエラーが出ていたがECUの配線を1本抜くだけで解決できた。

ECUのカプラー。抜けかけてるピンがそれだ。
写真の中央の抜けかけているピン。抜くか切る。

配線図を見てたらピンと来た。CVT車だけアースに繋がっている謎のピン。これだと思ったら大正解だった。CVTとMTの判別用かな。

あとは車検整備しながら改造申請書を作るだけだったのだが・・・

問題発生

軽自動車検査協会と改造申請のやりとりをしていくなかで今回の仕様では申請が通らないことが判明。

具体的には出力の大きいSCエンジン車に出力の小さいNAエンジン車のMTを搭載しているために下記の問題が発生しました

  • NA用のMTは、SC用よりギア比がローギアードのためドラシャの駆動力が大きい
  • このギア比の仕様のモデルは存在しないため、強度検討書が必要
  • 強度検討書には、ドライブシャフトのねじり強度の検討が必要
    • その計算にはドライブシャフトの材質(引張強さの値)が必要
      • 材質は表向きに知りようがない 問題①
  • 加減速時の計算が必要 問題②

問題①
ネットの事例で強度検討書を作成してる例はいくつかありましたが
材質をどうしてるのかというと、S45C等、ドラシャで使われないモノで計算していたりしてました。
実際の材質はSCM435のようなもっと強度のあるものを使っているはずです。
いずれにせよ仮の値などでは駄目、みたいなニュアンスで担当者に言われたので厳しい。

問題②
これも必要と言われたのだが計算事例も見せてもらえなかったし、ネットにもない。

ピンチ

対策案

強度検討書が厳しそうということがわかったので対策を考えました

  1. 駆動力が強すぎるなら1速封印すればいいんじゃね案
  2. SC用MTをゲットする案
  3. しれっと別の検査協会に提出してみる

1でも通るのだが、やっぱギア比はSC用のほうが実用的じゃね、ということでSC用ミッションをゲットすることにしました。

SC用ミッションであれば「動力伝達装置の一式載せ替え」という形で計算を省略できます。

3はどうなるのか興味があるが実行してません・・・w

ところで、
 「今のNAミッションをSCミッションと言い張れば、行けるんじゃね」
と思う人、居ると思います。
しかし部品の流用元の車両を特定する資料、つまりドナー車の自動車検査証返納証明書であったり、部品購入時の納品書が必要となるのでバレます。

シフトレバーが1速に入らないように、ゲートを作った
1速封印用の金具も作ったりしたんよ

ところで、

高えよ、SC用ミッション

球数少ないから高いんよね

買ったSC用ミッション。
SCミッション、中古でも4万した。辛い

あとは以前やったようにミッションを交換するのみです

せっかく載せたエンジンとミッションを、また降ろす様子
エンジンミッション降ろし、3回目?4回目
NA用ミッションとSC用ミッション
型式は同じTM60だがギア比が異なる。TM601AAがNA、TM601ABがSC(たぶん)

ちなみに、ドラシャもNAとSCで異なる。SCのほうが太い。

スプラインの直径は同じなので付くことはつく。
改造申請書上は、SC用を使わないと駄目。

なお、前期と後期ではミッション側の固定方法が異なる。

前期(A型、B型?)→ピン打ち込み
後期(C型以降かな?)→Cリング

ハブ側もナットのサイズが異なる。

注意が必要。

前期⇔後期はドラシャをバラして組み替えることで対応可能。
NA⇔SCは等速ジョイントのサイズも違うから、組み換えは不可能。

注意が必要。

ドライブシャフト。2本ずつ。
ドラシャいっぱいゾーン。写ってる以外に3セットぐらいあった。わけわからん

ヤフオクでドラシャを買ったらネジ部が潰れているのが届いた。

ネジ部を叩くな💢

クレーム入れたら別のを送ってくれました

嬉しい

あとは車検整備して書類準備して検査協会に持ち込むだけです。

祝!公認

検査協会に持ち込み検査を受ける。流れは中古新規とほぼ同じです。

途中で車体の写真を撮られたりするくらいの違いでした。

車検証の型式欄「V-KS3改」とある
輝く「改」の文字

V-KS3 うれしい

改造申請の詳細

必要書類

  1. 改造する車の自動車検査証 or 自動車検査証返納証明書 のコピー
  2. ミッションのドナー車の型式や類別区分番号が分かる資料
  3. 第3号様式(保安基準適合検討書)
  4. 第9号様式
  5. 第10号様式
  6. 車両外観図
  7. 改造部分詳細図及び改造概要等説明資料

参考になるかもしれないのでデータをアップしておく。

1. 改造する車の自動車検査証 or 自動車検査証返納証明書

表題の通りそのままだ。コピーを添付する。

分かりやすいように、欄外にでも「改造する自動車」と書いておいた方がよい

2. ミッションのドナー車の型式や類別区分番号が分かる資料

ミッションを部品取りする車の情報がいる。自動車検査証や自動車検査証返納証明書のコピーがあれば一番良いけど、今回はミッション単品を中古で購入したので、それの納品書を使用した。
当然、車両型式や類別区分番号などの情報が載っている必要がある。

勘のいい人は気付くと思うが、部品の出所が分からないと苦戦する羽目になる。

3. 第3号様式(保安基準適合検討書)

改造車が保安基準に適合しているか確認する資料だ

流用元の部品をそのまま使うなら特に問題ないと思う。

うpした資料ではGVWを計算しているが、軽自動車では要らない

4. 第9号様式

「改造自動車等届出書」
表:トランスミッションは(3)-① 動力伝達装置にカテゴリされている。
裏:必要な添付資料が一覧されている。

5. 第10号様式

「改造概要等説明書(改造自動車等審査結果通知書)」
改造の概要と、改造前後の諸元を記載する。

目的は「走行性能の向上」とした。
動力伝達装置の欄に「TB40型自動式変速機 を TM60型手動変速機 に変更」と書いた。
変速機型式と、変速方法(自動・手動)を明確にしておいた。

諸元表で、車両重量や最大安定傾斜角度は分からなかったので、製造元に問い合わせて教えてもらった。

改造車の重量は、実測できれば一番いいが、とりあえず標準車と同じにしておいた。
CVT→MTで10kgほど軽くなると思うが誤差の範囲内でしょう。

6. 車両外観図

改造車の外観寸法が分かる資料。
数字はカタログ等に載っていると思う。実際に測っても良いと思う。
サンバーは貨物車なので荷台寸法も要る。
四面図が無かったから、実写の写真を撮って寸法を書き入れた。

7. 改造部分詳細図及び改造概要等説明資料

一番肝心で、一番手間が掛かる資料だ。
様式は特にないが、どこを変更したかを明確にする。
そして、変更して強度に問題ないことを記載する。

今回はミッションの変更したことによってギア比が変わるので、
駆動軸(ドライブシャフト)にかかる最大トルクと最大回転数が変わってくる。
(FRや4WDなら推進軸(プロペラシャフト)も)

どちらも標準車より小さければ問題無いけど、そんな改造しないですよね。

ということで、駆動軸の強度計算が必要となる。

しかし、強度計算には駆動軸の材質が何か証明しないとだめといわれ、個人では難しい。

今回は、使用するエンジン(SC)とミッション(SC用)が載っている市販車が存在している。
そこで「それを一式流用するため問題無し」として強度計算を逃れた。

検査協会に聞きに行った時、
強度計算には、加速時・減速時の計算も要ると言われた。
例の計算式は開示してくれなかった・・・
ネットで調べた限りそこまで計算している例を見たことがない・・・・・・

掛かった費用

部品代

  1. スーパーチャージャー用トランスミッション 45000円
  2. ドライブシャフト左右 5000円
  3. サスペンションのボールジョイントブーツ類一式 1000円 ←破れていた

手数料等(2023年)

  1. 自賠責25ヶ月 18040円 本土の場合の値段(2023年時点)
  2. 重量税 8800円 ←18年超なので重税になる💢
  3. 検査手数料+技術情報管理手数料 2300円 ←新規中古よりすこし高い
  4. 車両番号標 1500円 ←ナンバープレートね。
  5. 臨時運行許可証 750円 ←仮ナンバー (必要の場合)

自分の人件費

気が狂うので考えてはいけない

検査協会に何回か出向く必要がある。当然平日なので、フルタイムで働いている人は有給が必要。

総括

CVT→MTの載せ替え自体はさほど難しいものではなかった。しかし改造申請の強度計算の難易度が高く、最終的に「強度計算」を諦め、高額なS/C用トランスミッションを使用することで強度計算をパスする形となった。ただし、支局や担当者により異なった見解を持つ可能性は否定できず、他の支局では違った結果になっていたかもしれない。

S/C用トランスミッションは高速寄りのギア比となっているため、燃費や快適性が高く、決して無駄な投資ではないと思う。

一連の取り組みで構造変更に対する理解が深まったと感じる。

そして、何より「改」付き車両となったので、合法的に堂々と公道を走ることができる。