JLCPCBの3Dプリントサービスを使って金属部品を作成してみた。レコードプレーヤーの壊れた部品です。
前置き。当時修理できず。
5年前(2018年ぐらい)、ハードオフでリニアトラッキングのレコードプレーヤーのジャンクを買った。
VictorのL-E500という機種だ。
故障内容はゴムベルト切れと、蓋を開けた状態で保持できない、というもの。
ゴムベルトは交換してとりあえず動くようになった。
しかし、蓋を開けた状態で保持できない不具合……これはヒンジの樹脂部品がスプリングに負けて割れていた。
この機種はトラッキングのメカニズムが全て蓋側に載っている。なので蓋が重い。
それを支えるために強力なスプリングがヒンジに内蔵されている。
なのにこのヒンジ、常にスプリングの力が加わる部分に樹脂が使われている。当然割れていた。
この当時、為す術もなく諦めて放置した。
金属3Dプリントサービスの登場
時は流れ、2023年。JLCPCBが3Dプリントサービスを始めたことを知る。なんと金属(SUS 316L )の3Dプリントが可能でしかも安い。
ということで、放置していたヒンジの部品を作ってみることにした。
モデルの作成と注文
まずは適当に採寸して3Dモデルを起こす。fusion360を使った。
寸法確認のためお家の3Dプリンタで樹脂のPLAで印刷してみた。
写真の左側だ。
右側は本物だ。金属製の軸が使われているが、今回は金属3Dプリントなので、軸もセットでモデルを作った。
寸法がOKそうなので、JLCPCBにデータを投げてみた。
使い方は簡単で、STLファイルをアップロードするだけ。
薄すぎる箇所があるけどOK?みたいな確認が来たけど承諾した。
フィレットがあると引っかかることがあるらしい。
見積もりは1個約$14.18。
3Dモデルの共有サービスでモデルを共有すると$7割引されるので、1個約$7.09だった。
今回は左右で2個使うので$14.18、配送にOSCを選べば送料は$1.97 合計$16.15となる。
びっくりの安さ。
部品の到着
2023年5月29日に注文 → 2023年6月9日に到着
特に大きな歪もなく、いい感じだ。
データ上の軸径はΦ3mmだが、計測するとΦ3.1mmぐらいになっていた。
紙やすりで磨けば問題なさそう。
早速ヒンジを組み立ててみた。スプリングが非常に強いのですげー苦労した。机にビス止めして気合で組み付けた。
ばっちりOKそうだ。金属なので割れる気配は全くなし。
本体を組み立てていく。5年前に分解したままだったので、組み方を忘れていたが組むことができた。
モデルの寸法を若干間違えていたが、ワッシャをかましてごまかした。バッチリOKではなかったわ。
完成
ヒンジが直り蓋を開けた状態で保持できるようになった。
5年かかったが修理できてよかった(ガワの汚さは今度)。
初めて3Dプリントサービスを利用した。個人でも金属部品を数千円で作れてしまう、夢みたいな話が現実になっている。積極的に活用していきたい。
JLCPCBでは最近CNCマシニングもやり始めたみたいなので気になる。