マイコン等でガソリンエンジンの回転数を知るには、点火パルスを得る必要があります。
そこで、実際に軽自動車のエンジンE07Aのイグニッションコイルの波形を観測してみました。
点火原理
4stのガソリンエンジンは2回転で1回点火します。ただしこれは1気筒辺りなので、エンジン全体では、2気筒エンジンなら2回転で2回、3気筒エンジンなら2回転で3回点火することになります。
イグニッションコイルは、点火プラグで放電できる程度の高電圧を発生させます。イグナイタは、イグニッションコイルの一次コイルをON-OFFするスイッチです。古い車ならイグナイタでは無く、ポイントと呼ばれるスイッチが付いていたりします。
イグナイタがONすると、イグニッションコイルにエネルギが蓄積され、OFFした瞬間に二次側に高電圧が発生します。ディストリビュータは、イグニッションコイルで発生したエネルギを各シリンダーの点火プラグに分配します。
最近の車は大抵ダイレクトイグニッションなので、各プラグがイグニッションコイルとイグナイタを持っていて、ディストリビュータがありません。
ところでディストリビュータは、スイッチのような役割をしているわけですが、ディストリビュータ内の接点同士は接触しません。接点には隙間があって、放電しているのです。これがロスになるので、嫌われたりするわけですね。
デスビを回して進角を調整する…というのは、実際には、デスビについているカム角センサーを回しています。
マイコン等でエンジン回転数を測定したい時、イグニッションコイルの一次側(イグナイタの出力端子)の電圧を見るのが一般的ですが、どのような電圧波形になっているのか気になったのでオシロで測定してみます。
測定条件
測定にはアナログオシロスコープHITACHI V-212を使います。電源は正弦波インバータを使います。
測定対象は、ホンダアクティ E07Aです。このエンジンは4st 3気筒、ディストリビュータ付き、イグナイタはフルトランジスタです。測定箇所はイグニッションコイルの一次側のマイナス、つまり、イグナイタに繋がっているケーブルです。具体的に言うと運転席下の青いハーネスです。
イグニッション波形
エンジン回転数2500rpm時のイグニッションコイルの一次側の波形です。
こちらは2000rpmの時の波形。
高電圧が欲しいのは、イグニッションコイルの二次コイルですが、一次コイルにも逆起電力による高電圧が発生していることがわかります。また、イグナイタのトランジスタ(図中TR)がONの時、電圧が完全に0Vに落ちず、4Vくらいとなっています。トランジスタのVceが主な原因でしょうか。ちなみに、イグナイタがONしている時間をドエルタイムと呼ぶらしいです。
後、点火後に電圧が振動して一瞬0Vまで落ちてます。
これをマイコンやロジックICでそのまま受けたら壊れますね。
ということで、波形整形回路が必要であることがわかりました。
波形整形回路の検討
イグニッションコイルの信号をマイコン等で扱うには、波形整形する必要があります。そこで考えたのが次の回路です。
- イグニッションコイルの信号を抵抗分圧で1/2に落とす……イグナイタON時の電圧が4V程度あるため
- ダイオードクランプ……電圧を-0.6~5Vに制限
- コンデンサで波形を鈍らす……点火後の振動を取り除く
この回路は試してませんが(無責任)、多分動きます。